PROJECT REBORNVol.004 — AIA journal of rediscovery.
はじめに
Project Reborn の第四回は、「AI」について書こうと思う。
Vol.001 では、自分自身と会社の原点を見つめ直すことについて、Vol.002 では、その考えを少しずつ形にしていく場所として、神戸に Workspace を構えることについて、そして Vol.003 では、その場所や会社を形づくる Elements について。
Roots。
Workspace。
Elements。
ここまで書いてきたことは、一見すると過去や場所の話に見えるかもしれない。
けれど、自分が Project Reborn を通して向き合いたいのは、過去だけではない。むしろ、これから何をつくるのかという未来の話だ。
その中心に置きたいと思っているのが、AIだ。
AI
ここ数年で、AIは急速に身近なものになった。
文章を書く。
調査する。
コードを書く。
画像をつくる。
資料を整理する。
業務の流れを見直す。
少し前なら専門的な知識や大きなチームが必要だったことも、今では小さな会社や個人でも試せるようになってきている。
もちろん、AIがすべてを解決してくれるわけではない。むしろ、AIができることが増えるほど、人が何を考えるべきかがよりはっきりしてくるように感じている。
何をつくるのか。
誰のためにつくるのか。
どこまでAIに任せるのか。
どこから人が判断するのか。
その仕事に、本当に必要な価値は何なのか。
AIは答えを出してくれる道具ではあるけれど、問いそのものを持つのは人間だ。
だから、自分にとってAIは「便利なツール」というだけではない。会社や仕事のあり方を、もう一度見直すきっかけでもある。
なぜ、いまAIなのか
オーバーライトとして、これまでWebやシステム、プロジェクト支援に関わる仕事をしてきた。
サイトをつくる。
仕組みを整える。
情報を整理する。
プロジェクトを前に進める。
そうした仕事の中で、ずっと感じていたことがある。多くの会社には、まだ整理されていない仕事がたくさんある。
人の頭の中にだけある手順。
毎回同じように繰り返している作業。
資料やデータが散らばったままになっている状態。
属人的になっていて、誰か一人がいないと回らない業務。
本当はもっと良くできるのに、忙しさの中で後回しになっている改善。
そういうものが、会社の中にはたくさんある。
AIは、そこに手を入れるための大きなきっかけになると思っている。
ただ新しい技術だから使うのではない。
流行っているから導入するのでもない。
今まで曖昧なまま動いていた仕事を見つめ直し、整理し、必要なら仕組みに変えていく。そのための力として、AIを使いたい。
小さな会社のためのAI
自分が特に向き合いたいのは、大きな企業だけではない。むしろ、地域の会社や小さな組織にこそ、AIの可能性があると思っている。
人が足りない。
時間が足りない。
情報整理に手が回らない。
新しいことを試したいけれど、どこから始めればいいかわからない。
外部に相談したいけれど、大きなシステム開発までは必要ない。
そういう会社は多い。
でも、そうした会社にとって本当に必要なのは、いきなり大きなシステムを入れることではない場合もある。
まずは、今の仕事を一緒に整理する。
どこに時間がかかっているのかを見る。
AIで置き換えられる部分を探す。
人が考えるべき部分を残す。
小さく試して、うまくいったものを少しずつ仕組みにしていく。
その方が現実的だし、続けやすい。
Project Reborn の Workspace が約13㎡の小さな場所から始まったように、AIの導入も小さく始めていいと思っている。最初から完成形を目指さなくていい。
まずは、ひとつの業務を軽くする。
ひとつの判断をしやすくする。
ひとつの情報を探しやすくする。
その積み重ねが、会社の動きやすさを少しずつ変えていく。
AIとデザイン
AIの話をすると、どうしても効率化や自動化の話になりやすい。もちろん、それは大事だ。
時間がかかっていた作業が短くなること。
同じ作業を繰り返さなくてよくなること。
情報が整理され、判断しやすくなること。
それだけでも大きな価値がある。
でも、自分はAIを効率化だけの道具として捉えたくない。AIは、デザインとも深く関係していると思っている。
ここで言うデザインは、見た目を整えることだけではない。
情報をどう整理するか。
人がどう使うか。
どこで迷うのか。
何を伝えるべきか。
どうすれば自然に動けるのか。
そうした問いを考えることも、デザインだ。
AIを使った仕組みも同じで、ただ動けばいいわけではない。
使う人にとってわかりやすいか。
日々の仕事に自然に入っていくか。
余計な負担を増やしていないか。
人が考える余地を奪っていないか。
そこを考えなければ、AIは便利そうに見えて、現場に定着しない。
だからこそ、オーバーライトがやるAIには、これまで積み重ねてきたWebやデザイン、プロジェクト支援の経験が必要になる。AIだけではなく、AIをどう使うかを設計すること。そこに、自分たちらしい仕事があると思っている。
神戸でAIをやる意味
Project Reborn では、神戸という場所も大切なテーマになっている。東京で積み重ねてきた経験を、地元・神戸へ還していきたい。Vol.001 でも、そう書いた。
AIも同じだ。
AIはどこでも使える技術だ。オンラインで完結する仕事も多い。東京の企業とも、海外のサービスともつながることができる。だからこそ、あえて神戸でやる意味を考えたい。
顔が見える距離で話す。
会社の空気を感じる。
現場で実際の困りごとを聞く。
小さな違和感を拾う。
一緒に試しながら改善していく。
そういうことは、地域にいるからこそできる。
もちろん、すべてを対面でやる必要はない。でも、同じ街にいるという感覚は、仕事の進め方に影響する。
AIという新しい技術を、遠い場所の大きな話にしない。地元の会社の毎日の仕事に、ちゃんと届く形にする。それが、神戸でAIに取り組む意味なのだと思う。
会社を形づくるAI
AIを事業の軸にしていくことは、単に提供するサービスを変えるということではない。オーバーライト自身の働き方も、変えていく必要がある。
提案の作り方。
調査の仕方。
開発の進め方。
ドキュメントのまとめ方。
顧客とのやり取り。
社内の情報整理。
自分たち自身がAIを使い、試し、失敗し、改善していく。それができていなければ、他の会社にAI活用を提案することはできない。
Project Reborn は、自分自身と会社をもう一度つくり直すプロジェクトだ。だからAIも、外に向けて売るためだけのものではない。
まず自分たちの仕事を見直す。
小さな仕組みをつくる。
使ってみる。
うまくいかなければ直す。
そこで得た知見を、地域の会社やクライアントに還していく。その循環をつくっていきたい。
Project Reborn とは
Project Reborn は、過去を連れて前に進むプロジェクトだ。
AIという新しい技術に向き合うことは、一見すると過去とは逆の方向に見えるかもしれない。でも、自分にとってはそうではない。
90年代から2000年代のWebやデジタルカルチャーに惹かれたのは、そこに新しい表現や仕組みを自分の手で試せる面白さがあったからだった。Flashを触り、Webを眺め、誰も見たことのないものを作ろうとしていたあの頃の空気。
AIにも、少し似た感覚がある。
まだ正解がない。
みんなが試している。
使い方も、仕事への取り入れ方も、これから形になっていく。
だからこそ、自分はAIに惹かれているのだと思う。
懐かしいから過去へ戻るのではない。
新しいから未来へ飛びつくのでもない。
過去に感じていたものづくりの熱量を持ったまま、新しい技術に向き合う。それが、Project Reborn における AI なのだと思う。
次回予告
次回は、Project Reborn と Community について書こうと思う。
AIも、Workspace も、アーカイブも、一人で完結させるためのものではない。神戸でどんな人たちとつながり、どんな関係性をつくっていきたいのか。地元のクリエイターや企業と、どんな場を育てていきたいのか。
Project Reborn は、少しずつ外へ開いていく。次回は、その話を書いていきたい。
PROJECT REBORN
原点を見つめ、未来をつくる。
Vol.005 — Community