PROJECT REBORNVol.002 — WorkspaceA journal of rediscovery.
はじめに
Project Reborn の第二回は、「場」について書こうと思う。
Vol.001 では、自分自身と会社の原点を見つめ直すために、このプロジェクトを始めたこと。90年代から2000年代にかけてのデザインツールやデジタルカルチャー、自分がものづくりに惹かれた原っぱのような場所。そして、東京で積み重ねてきた経験を、地元・神戸へ還していきたいということ。
その流れの中で、自然と必要になったものがある。
それが、Workspace だった。
オフィス、と呼んでしまえばそれまでかもしれない。けれど自分にとってこの場所は、単に仕事をするための部屋ではない。考える場所であり、つくる場所であり、人と会う場所であり、Project Reborn という考えを少しずつ形にしていくための場所だ。
Workspace
今回、神戸に小さな部屋を借りることにした。
広さは約13㎡。決して広い空間ではない。むしろ、一般的なオフィスとして考えるとかなり小さいと思う。
でも、いまの自分にはこのくらいの大きさがちょうどいい。
大きな会議室があるわけでも、大量の席を並べられるわけでもない。できることは限られている。けれど、その限られた空間の中で、何を置くのか、何を置かないのかを考えること自体が、今の自分にとっては大切だ。
デスクを置く。
椅子を置く。
少しだけ人と話せる場所をつくる。
アーカイブを並べる。
AIを触り、コードを書き、デザインを考える。
それだけで十分だった。
いや、むしろそれくらいがよかった。
大きな場所を持つことよりも、まずは自分の手が届く範囲に、ちゃんと熱量のある場所をつくること。その方が Project Reborn らしいと思った。
なぜ、この場所だったのか
部屋を見たとき、最初に印象に残ったのは窓だった。
白い壁に、三つ並んだアーチの窓。
高めの天井。
まだ何も置かれていない床。
そこには、完成されたオフィスの整った感じはなかった。むしろ、余白しかなかった。
でも、その余白がよかった。
何かを始める場所には、少しだけ未完成な空気があった方がいい。最初から整いすぎている場所よりも、これから手を入れていける場所の方が、自分には合っている。
この場所を見たとき、ここなら少しずつ育てていけるかもしれないと。
Project Reborn は、完成したものを見せるプロジェクトではない。自分自身や会社が、もう一度原点を見つめ直しながら、少しずつ形を変えていく記録だ。
だから Workspace も、完成形を急ぐ必要はない。
最初は何もなくていい。
床を選ぶところからでいい。
家具を迷うところからでいい。
置くものをひとつずつ決めていけばいい。
その過程ごとが、このプロジェクトの一部になる。
空間にも、思想がある
今回の Workspace の方向性は、なんとなく決まっている。
ヴィンテージ。
インダストリアル。
デザイン事務所。
古着屋ではなく、ギャラリーでもなく、90年代から2000年代のデザイン事務所のような空気。Adobe や Macromedia の時代、Web がまだ実験的で、少し荒くて、でもやたらと熱かった頃の空気。
そこに、AI開発といういまの仕事を重ねていく。
一見すると、古いものと新しいものが混ざっているように見えるかもしれない。けれど自分の中では、これは自然につながっている。
過去のデザインカルチャーを懐かしむために集めているのではない。
AIをただ新しい技術として使いたいわけでもない。
大事なのは、ものづくりの熱量をもう一度取り戻すことだと思っている。
そのために、空間はとても大事だ。
毎日座る椅子。
手を置く机。
床の質感。
壁にかけるもの。
棚に並ぶ本やTシャツや資料。
そういう一つひとつが、自分の思考に影響する。
だから、この Workspace は単なる作業場所ではなく、自分が何に影響を受け、これから何をつくろうとしているのかを映す場所にしたい。
会社も、同じだった
場所をつくることは、会社をつくることに少し似ている。
最初から完成形が見えているわけではない。
必要なものをひとつずつ選び、いらないものを少しずつ手放していく。
その積み重ねの中で、だんだん輪郭が見えてくる。
オーバーライトも、今まさにそういう時期にあるのだと思う。
これまで受託開発やプロジェクト支援、Webやシステムに関わる仕事をしてきた。その中で得た経験を土台にしながら、これからはAIを活用した開発や業務改善を、より中心に置いていきたい。
でも、それは単に「AI事業を始めます」という話ではない。
AIを使って、地域の企業の仕事をもっと回りやすくする。
デザインやWebの力で、伝えたいことがちゃんと届く形にする。
神戸で活動する人たちとつながり、新しい挑戦が生まれるきっかけをつくる。
そういうことを、自分の手が届く場所から始めていきたい。
だからこそ、Workspace が必要だった。
考えるだけではなく、手を動かす場所。
一人でこもるだけではなく、人を迎えられる場所。
過去のアーカイブと、これからの仕事が同じ空間に並ぶ場所。
会社の次の形を考えるためにも、この小さな部屋は必要だったのだと思う。
Project Reborn とは
Project Reborn は、過去に戻るためのプロジェクトではない。
Vol.001 でも書いたように、過去を連れて前に進むためのプロジェクトだ。
今回の Workspace は、その考え方を実際の場所として形にする最初の一歩になる。
場所があると、考えは少しだけ現実になる。
まだ何もない部屋に机を置く。
床を変える。
棚を組む。
人を呼ぶ。
そこで会話が生まれる。
何かをつくる。
そうやって、頭の中にあったものが、少しずつ現実の風景になっていく。
自分にとって Workspace とは、仕事場というより、Project Reborn の実験室に近い。
ここでAIを触る。
ここでデザインを考える。
ここでアーカイブを並べる。
ここで人と話す。
その全部が、これからのオーバーライトをつくっていく。
次回予告
次回は、この Workspace を形づくる要素について書こうと思う。
床、机、椅子、ラック。
一つひとつはただの家具や道具かもしれない。けれど、何を選ぶかには、その人の考え方が出る。
なぜコンクリート調の床なのか。
なぜヴィンテージ家具なのか。
なぜ黒いスチールラックなのか。
Project Reborn は、まだ空っぽの部屋から始まった。ここから少しずつ、この場所を育てていこうと思う。
PROJECT REBORN
原点を見つめ、未来をつくる。
Vol.003 — Elements