クライアントと対等であること——KOBE Creators SALON で聞いた、価値のつくりかた
先日参加したKOBE CREATORS SHIFT SEMINAR vol.1の流れで、その交流会にお邪魔してきました。KOBE Creators SALON Vol.2——ペタビットの三木さんと鈴木さんが主催されている、神戸のクリエイターが領域を超えて集まる会です。テーマは「第一線のディレクターと考える『クライアントに選ばれる』クリエイター思考」でした。
デザイン、コピー、ブランディング、映像、そしてシステム。同じ「つくる」でも立っている場所がまるで違う人たちが、同じテーブルで話をする。前回のセミナーもそうでしたが、この会は毎回、自分の思考の癖を外から指摘されるような時間になります。
バナナ一本にどう付加価値つけるか
ペタビット株式会社 常務取締役の三木直志さんからは、マウリツィオ・カテランの《コメディアン》の話がありました。本物のバナナを、ダクトテープで壁に貼っただけの作品です。それが作品として成立し、高額で取引された。
素材の原価でも、制作にかかった時間でもないところに価値がついている。では、その価値はどこから生まれたのか——付加価値をどうつけるか、新しい価値をどう創造するかというお話を、前回よりもさらに踏み込んで聞かせていただきました。三木さんはとにかく話が上手で、気づくと引き込まれてしまいます。
自分の仕事に引き寄せて考えると、これはかなり耳の痛い話でもあります。システム開発は、どうしても「工数×単価」で語られやすい。けれど本当にお客様が対価を払っているのは、動くプログラムそのものではなく、それによって手に入る状態のほうです。バナナの話は、その当たり前を思い出させてくれました。
「クライアントと対等である」という言葉
続いて、株式会社レイロ 代表取締役の八田亮輔さんのお話。一番印象に残ったのは、クライアントと対等であることを意識されている、という点でした。
正直に書くと、聞いた瞬間はピンときませんでした。自分はシステムが中心で、要件をうかがい、それを形にするという順番で仕事をすることが多い。「対等」という言葉が、少し遠く感じたのだと思います。
けれど話を聞くうちに、腑に落ちてきました。ブランディングのようなコンセプトワークでは、依頼を受けて言われた通りにつくるだけでは、良いものになりようがない。「それは違うと思います」と言える関係でなければ、コンセプトは深まらないし、そもそもデザイナーやコピーライターがモチベーションを保てない。上流に立つ仕事ほど、対等さは礼儀の話ではなく、品質の条件なのだと理解しました。
そして考えてみれば、これは自分の領域でも同じでした。「このシステムをつくってほしい」というご依頼をそのまま受けるのが親切とは限りません。「本当に解くべき課題はそこではないかもしれません」と言えるかどうかで、結果は変わります。言い方は違っても、行き着く先は同じところでした。
領域が違う人の言葉は、最初はだいたいピンとこない。それでも持ち帰って考えると、自分の仕事の言葉に翻訳できることがある。こういう場に出る意味は、たぶんそこにあります。
30秒では、やっぱり伝わらない
会の中で30秒プレゼンの時間をいただいたので、いま取り組んでいるプロジェクトの話を少しさせてもらいました。
私のプレゼンの拙さもありますが、何より30秒は短すぎました。おそらくほとんど伝わっていないと思います。もし少しでも引っかかるものがあった方がいらっしゃれば、連載のほうを読んでいただけると嬉しいです。
神戸で、クリエイターとエンジニアが一緒に動ける場所をつくろうとしている話です。興味を持っていただけたり、手伝ってもいいと思っていただけたりする方がいらっしゃれば、ぜひご連絡ください。人が増えるほど面白くなる種類のプロジェクトです。
次回は、クラフトビールの回
次回はレイロさんのオフィスで、クラフトビールの回だそうです。
私、お酒が飲めないのですが。ノンアルのクラフトビールでもあればいいなと思いつつ、また参加させていただこうと思っています。飲めなくても、話は聞けますので。
名刺交換をいただいた皆さま、お話しさせていただいた皆さま、本当にありがとうございました。短い時間でしたが、どの会話にも持ち帰るものがありました。そして主催の三木さん・鈴木さん、貴重な場をありがとうございました。
参加した交流会:KOBE Creators SALON Vol.2「第一線のディレクターと考える『クライアントに選ばれる』クリエイター思考」(2026年7月28日)
前回の記事:「作れる」だけでは選ばれない——神戸の音から考えたこと
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