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「作れる」だけでは選ばれない——神戸の音から考えたこと

神戸市主催のKOBE CREATORS SHIFT SEMINAR vol.1「クライアントに選ばれる!これからのクリエイター思考」に参加してきました。

AIが当たり前になって、多くのことが「作れる」ようになりました。文章も、画像も、コードも、少し前なら専門職に頼むしかなかったものが、その気になれば誰でも形にできます。だからこそ、作れること自体は、もう選ばれる理由にならない。そのことを改めて突きつけられる時間でした。

「作れる」の価値が下がった後に残るもの

では何が残るのか。セミナーの中で腑に落ちたのは、次の三つでした。

どう課題を整理するか。どう価値を提案するか。そしてどう伴走するか。

どれも、成果物そのものではなく、成果物にたどり着くまでの過程の話です。お客様が最初に口にする「〇〇を作りたい」は、多くの場合、本当の課題そのものではありません。その手前にある「なぜそれが必要なのか」を一緒にほどいていく作業は、今のところAIが肩代わりしてくれる部分ではありません。

3人チームで、移住促進を考える

セミナーの後半はワークショップでした。教育系コーチングをされている方、コーダーの方、そしてエンジニアである自分。専門も職種もばらばらの3人でチームを組み、少子化と移住促進のためにどんなプロモーションができるか、というテーマで議論しました。

このメンバー構成が、結果的によかったと思っています。同じ職種で集まると、話は自然と手段の比較になります。サイトを作るのか、動画を回すのか、SNSをどう使うのか。けれど視点の違う三人だと、そもそも「移住を考える人は、何をきっかけに心が動くのか」というところから話が始まります。

たどり着いたのは「神戸の音」

最終的にチームが行き着いたのは、「神戸の音」を切り口にしたコンテンツづくりでした。

街の魅力を伝えようとすると、たいてい写真か映像になります。夜景、港、山と海の近さ。どれも間違いではないのですが、他の街も同じように美しい写真を出してきます。見比べられた時点で、勝ち負けは撮影の腕の話になってしまう。

音は、そこから外れます。そして音は、記憶と強く結びついています。

自分は灘区で生まれ、東灘で育ちました。海沿いの暮らしそのものに詳しいわけではありませんが、子どもの頃から、港から聞こえてくる汽笛をBGMのように聞いて育ちました。特別なものだと思ったことは一度もありません。ただそこにある音でした。

その「何気なく聞いていた音」が、神戸らしさを伝える資源になり得るのかもしれない。議論の中でそう気付かされたのは、自分にとって一番の収穫でした。価値のあるものは、外から探してくるより、すでに足元にあって見過ごされているものの中にあることが多いのだと思います。

業務改善の現場でも、同じことが起きている

この構造は、普段のAI導入支援や業務改善の仕事とまったく同じです。

「AIで何かできませんか」とご相談をいただいたとき、新しい技術を持ち込むことより、その会社がすでに持っているもの——蓄積されたデータ、ベテランの判断基準、長年かけて整えられてきた手順——を見つけて言語化するほうが、はるかに効果が出ます。社内では当たり前すぎて価値だと認識されていないものが、外から見ると明確な強みだった、ということが本当によくあります。

汽笛の話と、まったく同じです。

まとめ

AIが道具として当たり前になるほど、道具を使えることの価値は下がり、何のためにどう使うかを決める部分の価値が上がります。技術は当然アップデートし続けますが、「選ばれ続けるための考え方」も同じように更新していかなければいけない。そう感じた一日でした。

ご一緒いただいた皆さま、ありがとうございました。今日の学びは、これからのAI/DX支援やご提案の中に還元していきます。

参加したセミナー:KOBE CREATORS SHIFT SEMINAR vol.1「クライアントに選ばれる!これからのクリエイター思考」(主催:神戸市/2026年7月24日)

課題の整理から、一緒に

OVERWRITEでは、「AIで何かしたいが何から手をつければいいか分からない」という段階からのご相談をお受けしています。作ることより前の、課題を整理するところからお手伝いします。