「最新版はどれ?」が飛び交う会社が、最初に決めるべきこと
「これ、最新版で合ってますか」。社内でこの確認が繰り返される会社の共有フォルダには、だいたい似た名前のファイルが並んでいます。「見積書_最終.xlsx」「見積書_最終_修正.xlsx」といった具合です。
どれが有効なのか分からないので、確認のたびに手が止まる。ときにはクライアントに古い版を送ってしまう。地味ですが、これは確実にコストとして積み上がっています。
なぜファイル名で管理しようとするのか
原因は、バージョン管理をファイル名でやろうとしていることにあります。
責任感のある人ほど、上書きして前の内容が消えることを怖がります。だから別名で保存する。つまりファイルが増えていくのは、いい加減さの結果ではなく、慎重さの結果です。
ここが分かると、「命名規則を決めましょう」では長続きしない理由も見えてきます。人の注意力に頼る仕組みは、忙しくなった瞬間に必ず崩れます。必要なのはルールの追加ではなく、保管の構造を変えることです。
決めるのは「置き場所」と「更新する人」の二つだけ
やることは二つです。
一つめは、正本の置き場所を一箇所に決めること。 見積書ならこのフォルダのこのファイルが正本、と定めて、それ以外の場所にあるものはすべて写しとして扱います。個人のデスクトップやメールの添付は、正本にはしません。
二つめは、その正本を直せる人を決めること。 誰でも自由に触れる状態だと、責任の所在が曖昧になります。更新する人が決まっていれば、「これで合ってますか」と聞く相手も自動的に決まります。
GoogleドライブやMicrosoft 365のようなクラウドの共有ストレージを使っていれば、上書きしても過去の版が自動で残ります。「消えるのが怖いから別名保存」という動機そのものが消えるので、ファイルの増殖は自然に止まります。
同じファイルが特定の人しか触れない状態になっている場合は、Excel業務が属人化する会社の共通点と、整理のはじめ方もあわせてご覧ください。
AIを入れる前に、ここが効いてくる
「社内の文書をAIに読ませたい」というご相談が増えています。そのとき最初につまずくのが、まさにこのファイルの散らかりです。
古い版と新しい版が同じ場所に並んでいると、機械は両者を区別できません。結果として、古い情報をもとに答えてしまいます。
AI導入がうまくいくかどうかは、モデルの性能より、読ませる情報が整理されているかどうかで決まることのほうが多いのです。ファイル管理の整備は地味ですが、そのままAI活用の土台になります。
まとめ
版の混乱は、担当者の不注意ではなく構造の問題です。名前の付け方を工夫するより、正本をどこに置き、誰が直すのかを決めるほうが効きます。
まずは、社内でいちばん頻繁に使う書類から始めてみてください。一種類でも整うと、他の書類にも同じやり方が使えます。
書類の整理から、ご一緒します
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