いちばん効く業務改善は「やめる」こと
業務改善の相談をいただくとき、最初に出てくる言葉はたいてい「この作業を効率化したい」です。Excelの集計に時間がかかる、転記のミスが多い、月末になると特定の人が残業する。どれも本当に困っている話で、解決したい気持ちはよく分かります。
ただ、その業務を実際に見せていただくと、それなりの割合で「そもそも、これは必要なんだろうか」という作業が混ざっています。効率化する前に、やめてしまえば済むものです。
誰も読んでいない資料が、毎月つくられている
よくあるのが、定例で提出している報告書です。誰かが数年前に「あったほうがいい」と言って始まり、今も毎月きちんとつくられている。ところが提出先に確認すると、「最近は見ていないですね」と返ってくる。担当者はそれを知らないまま、毎月半日をかけて作り続けています。
同じことは、二重チェックや、承認印の数にも起こります。過去に一度トラブルがあり、その再発防止として増えた手順が、原因が解消されたあとも残り続けている。個々の作業時間は短くても、承認が三段階あれば、書類は三回止まります。
こうした業務は、効率化の対象としてはとても筋が悪いものです。システムを入れれば作業時間は半分になるかもしれませんが、必要のない作業を半分の時間でやっているだけで、費用も運用の手間も新たに発生します。
「やめる」の判断は、現場ではできない
では、なぜ不要な作業が残り続けるのか。理由はシンプルで、現場の担当者に「やめる」判断の権限がないからです。
自分の担当業務を勝手に止めれば、何かあったときに責任を問われます。誰かが困るかもしれない、と思えば続けるほうが安全です。結果として、業務は足し算だけが行われ、引き算をする人がいないまま積み上がっていきます。
だからこの判断は、経営層が引き受けるべきものです。「この報告書は今期からやめる」「この承認は課長までにする」と決められるのは、責任を取れる立場の人だけです。現場に「無駄をなくして」とだけ伝えても、動きようがありません。
まず、棚卸しから始める
やることは難しくありません。部署ごとに、定例で発生している業務を書き出してもらいます。作業名、頻度、かかっている時間、そして「誰のための作業か」の四つです。
このうち、最後の項目が効きます。提出先や利用者を具体的な人名や部署名で書けない作業は、やめる候補です。書けたとしても、その相手に「使っていますか」と一度聞いてみると、想像と違う答えが返ってくることがあります。
この棚卸しには、もうひとつ効果があります。やめる候補を除いたあとに残った業務こそ、本当に効率化する価値のある業務だということが分かる点です。AIやシステムの導入は、そこから検討すれば十分間に合います。
まとめ
業務改善というと、新しいツールを入れることだと思われがちですが、順番としては「やめる」「減らす」が先で、「自動化する」は最後です。この順番を逆にすると、不要な作業のために投資をしてしまうことになります。
そして「やめる」は、費用がかからないうえに、効果がすぐ出ます。最初に手をつける改善として、これ以上に割のいいものはなかなかありません。
何を残して、何をやめるか、から一緒に
OVERWRITEでは、業務の棚卸しから、どこを残してどこを自動化するかの整理までをお手伝いしています。「何から手をつければいいか分からない」という段階でも構いませんので、気軽にご相談ください。